【公益財団法人ウシオ財団奨学金とは】
公益財団ウシオ財団は、ウシオ電機株式会社の創業者であり、名誉相談役の牛尾治朗氏が、大学に在学する学生に対し奨学金を給与するとともに、学術研究・文化活動に資金助成を行うことにより、人材の育成と学術・文化の発展に寄与することを目的として設立されました。
同財団は牛尾治朗氏とウシオ電機株式会社が資金を提供しており、1994年の設立以来、日本人学生を対象に援助してきましたが、2002年からは、中国人留学生に対しても門戸を開き、月額12万円の奨学金を返済不要で提供しています。
ウシオ財団が中国人留学生に奨学金援助をはじめたきっかけは、株式会社大富の張麗玲社長が企画制作したドキュメンタリー「私たちの留学生活~日本での日々」シリーズにありました。そのうちの1作「私の太陽」をご覧になり、中国人留学生の溢れる求学心や向上心に感銘を受けた牛尾治朗氏は、かつて大富の取材に対し、「外国人が日本で勉強するのは非常に困難です。自分の生活のために奔走している学生はなおさらです。日本の政府も色々な奨学金を提供していますが、全ての学生が受け取れるものではありません。奨学金は勤勉で努力を惜しまない真面目な学生が受け取るべきもので、わたしはそういう学生を援助したいと思いました。張社長の“私の太陽”を見て、中国人留学生の精神に感動し、私の考えを張社長に伝えたのです」、と話しています。
これをきっかけに、2002年から大富はウシオ財団奨学生の募集と選考を担当することになりました。牛尾治朗氏からは、大富のこれまでの歩みや各方面への影響力から、最適の人材を選抜する上での絶大なる信頼をいただいています。大富もドキュメンタリー作品をきっかけにして文化的事業に参与するチャンスに恵まれ、感謝の気持ちと併せ、毎年奨学生選考を全力でバックアップしています。大富での一次選考、二次選考に加え、有名大学の教授を招いた選考委員チームによる、厳密で入念な審査を行い、優れた学力を有しながら、経済的に困窮している中国人留学生を、ウシオ財団へ推薦し続けています。審査業務を通して、大富は多くの優秀な留学生と接触する機会に恵まれ、社長をはじめ社員一人一人が、この事業の意義について深く認識しています。
【大富奨学金】
2003年7月1日、株式会社大富で行われた「大富奨学金」授与式において、中国人留学生の呉金海さんが奨学金証明書を受け取った。
「大富奨学金」の選考作業は、ウシオ財団奨学金と同時に実施された。2003年は、同財団中国人留学生奨学金の設立から2年目にあたり、3名に授与されている。選考作業は、選考委員会委員長の張麗玲社長および担当社員と、立命館大学の周瑋生教授、埼玉大学の外岡豊教授、東洋学園大学の朱建栄教授によって行われ、最終的に選ばれた4人の候補者名簿が財団側に最終選考へと送られた。しかし、同年の奨学金枠は3名だったため、最終的に浙江省出身の呉金海さんが惜しくも落選した。
呉さんは浙江省諸曁市郊外の農村出身で、ハルビン工程大学を卒業後すぐ来日し、日本語学校で2年間日本語を勉強したのち、立教大学社会学研究科の間田研究所に入って社会学の研究を進めている。成績優秀な呉さんだが、両親は農業に従事している労働者で、呉さんと妹の大学費用が経済的に深刻な問題になっていた。
張麗玲社長は呉さんの生活状況を考慮し、学業優秀だが家庭的な条件に恵まれない留学生の援助を決めた。2003年は大富の開局5周年にあたるため、張社長は臨時の「大富奨学金」を設立し、月額5万円の補助を行うことになった。
「大富奨学金」は日中の架け橋になるという大富の事業理念を具現化したものと言える。留学生は今後の両国関係発展に無くてはならない存在であり、大富では彼らを支援することで祖国のより一層の繁栄と日中友好への貢献を強く願っている。